対処が難しい子供同士のケンカ
子供が多く集まる保育園という場所では、どうしても日常的にケンカは起こってしまいます。
昭和くらいの時期ならば子供同士のケンカは両成敗と怖いオヤジさんががつんと言って終わりになるようなこともあったかもしれませんが、現代はそんな簡単にケンカの処理をすることはできません。
私自身も子供のときの記憶としてかなり鮮明に残っているのですが、子供同士のケンカといえどもそこには何らかの原因があるもので、そこを全く加味せずに一方的に大人に判断されて処理をされるとかなり心に深い傷を負ってしまいます。
理不尽なケンカから逃げることも処世術というふうにとることもできますが、やはり保育士として子供の発育に関わる仕事をしている以上はできるだけ公平に処理をしてあげたいとは思います。
もっともそこまでこじれるようなケンカは子供同士だけの関係で起こるようなことは滅多にありません。
問題は最初の処理の方法を間違ってしまうことで、双方の子供の親が介入してきたりして保育園全体まで巻き込むような大事になってしまうというケースです。
大げさなようですが火種はボヤのうちに消し止めておかなければ、山ごと焼いてしまうような大火事にまで発展してしまうこともあります。
子供同士の言い分をまずはしっかりと聞く
子供同士のケンカの場合まずよくあるのが使っていたおもちゃをとりあったり、何か順番を待っていたのをずるされてしまったというような原因です。
ちょっと目を離したときにうわーっと泣き出す声が聞こえるケースというのは大抵それで、最初はささいな言い合いだったのがついどちらかが手を出してしまいそれが大泣きになってしまうということがあったりします。
そうした場合、ついつい「今度から守ろうね。はい、仲直り」で終わりにしてしまいたくなるところなのですが、実際にはルールを破ったりいじわるをしたりしたのは片方だけで、もう片方には全く非がないということもあったりします。
むしろまじめな性格の子供が自分の正義を貫こうと頑張って暴力を受けるということもあるので、それを「どっちも悪かったね」というふうに処理をするのはあまりにも理不尽ということになるでしょう。
下手をすればそこで「ルールを守っても損をするだけ」という誤った価値観を植え付けることになってしまいます。
まずはそのケンカの原因が何なのかという話をよく聞いて、その上でどんな解決方法が望ましいかということをお互いに納得してもらうことが大事になります。
ケンカの中にも発達が見え隠れします
ケンカはよくないことではありますが、子供の発達においてはむしろケンカを経験することで得られるたくさんの経験もあったりします。
例えばケンカの原因についてもとても小さいうちには自分が遊んでいたものをとられたり、邪魔をされたことで起こることが多いのに対し、年中~年長さんくらいになると自分の意志だけでなく「みんなで守るべきルールを破った」「自分以外の子供をいじめた」というような客観的な理由でケンカをする子供もでてきたりします。
たまにクラスの中に一人二人非常に頭の良い子がいて、理由の説明にも大人びた言い方をしてくることもあったりします。
見守る立場の保育士としては、ケンカを完全に起こらないようにするよりむしろ良い意味で人生経験になるようなケンカの仕方をさせてあげたいと思っていたりします。